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ラボバンク、乳業メーカーランキング(2018年)を公表

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 オランダの農協系金融機関ラボバンクは8月6日、2018年の世界主要乳業メーカーの売上高(注)ランキング上位20社を発表した。
 (注)売上高は、牛乳・乳製品の販売に係るもののみを対象とし、2018年の財務状況および2019年1月1日〜6月30日までに完了した企業合併・買収(M&A)をベースにしたものである。
 
 2018年の乳業メーカーの売上は、商品価格の低迷や主要な輸出地域での悪天候、為替の変動(強い米ドル)に影響を受けた。上位20社の総売上高を米ドル換算で見ると、2017年は前年比7.2%増であったのに対し、2018年は同2.5%増となった。しかしながら、ユーロ換算では、2017年は同5.1%増であったのに対し、2018年は同2.0%減となっている。なお、上位20社は、4年連続で同じ顔ぶれとなっている。
 
 M&Aは、上位20社のほとんどの企業にとって成長のための実証済みの戦略であり、2018年も、その動きは2017年よりは劣るものの活発であった。1位と2位の総売上高を米ドル換算でみると、前年に比べ、その差が縮小している。なお、直近18カ月間(2018年1月〜2019年6月)では巨大なM&Aが行われておらず、上位20社のランキングにも3年連続で新たなメーカーは入らなかった。
 ラボバンクは、乳業部門のM&Aが今後も続くとみている。2018年のM&A件数は、前年の127件よりわずかに減少したものの、111件となっている。なお、2019年上半期は既に85件となっており、そのうち32件は大陸間(cross-continental)で行われた。
 直近18カ月間のM&Aは196件であるが、そのうち、87件が国内(domestic)、70件が大陸間(cross-continental)、39件が地域内(regional)で行われた。欧州は大陸間のうち60%を占め、国内間でも40%となっている。ランキング上位20社のうち、19社で75件を超えるM&A、合弁事業、戦略的提携またはその解消が行われたが、そのうち上位20社の間では8件にとどまった。
 
 2018年のランキングは、上位3社の顔ぶれは前年から変わらないが、1位のネスレ、2位のラクタリスの総売上高の差は前年の43億米ドルから、35億米ドルに縮小した。上位20社のランキングには新たなメーカーは入らなかったものの、一部でランキングの入れ替えが見られた。なお、上位20社を本社所在国別にみると、欧州が10社、北米が6社、アジア3社、オセアニア1社となり、日本企業では明治が16位に入っている。
 
 1位のネスレ(スイス)は、スイスフランが米ドルに対して比較的安定していたことと、乳児栄養部門の成長により、1位を維持した。
 2位のラクタリス(フランス)は、15件のM&Aを進め、世界中で事業を展開、さらに中東・アフリカ・南米・アジアで事業を拡大し、1位に近づいている。2019年7月には、ブラジルのItambéを買収、クラフト・ハインツのカナダにおけるチーズ事業を取得した。また、現在、ラクタリスは、以下の5件を含む企業買収を進めている。
  1. ネスレのマレーシアにおけるチルド事業およびウズベキスタンの2工場
  2. インドのPrabhat Dairy
  3. イタリアのチーズメーカーNuova Castelli
  4. ペルーのAspenの育児用乳調製品事業
  5. Ehrmannの米国におけるヨーグルト事業
 3位はダノン(フランス)となった。なお、Yashili New Zealandの株式の49%を取得することについては、現在保留中である。
 4位のフォンテラ(ニュージーランド)は、豪州のDarnum の育児用乳調製品工場の全株式を取得し、順位を上げた。また、同社はインドのFuture Consumerと合弁会社Fonterra Future Dairy Partnersを設立し、高品質な乳栄養製品に対する需要に合わせてDreameryブランドを立ち上げた。その一方、既存の製品の見直しも行っており、例えば、Tip Topアイスクリーム事業は、ネスレのアイスクリーム合弁会社Froneriに売却され、英国に拠点を置く合弁会社Fast Forwardの株式の大部分はFirst Milkに買収される見込みである。また、ドイツに拠点を置く、フリースランドカンピーナとの合弁会社DFE Pharmaの株のうちフォンテラが所有する持分が売りに出されている。
 5位のフリースランドカンピーナ(オランダ)は、国内、米国、スペインでのチーズ事業への投資の結果、順位を上げた。酪農協系乳業である同社は、ドイツ最大の酪農協系乳業DMKと、DMKがフリースランドカンピーナ向けのモッツァレラチーズの製造を開始するという製造契約を締結した。
 
 また、ラボバンクは、中国企業である8位の伊利集団および10位の蒙牛乳業について、国内市場での競争の激化により、両企業は成長のために海外に目を向けざるを得ないとしている。両企業の高付加価値化戦略によって、両企業合わせた売上高は、米ドル換算で、2017年の前年比9%増に対して、2018年は同15%増となった。伊利集団は、タイのアイスクリームブランドを取得し、蒙牛乳業は最近、ウルグアイ最大の乳業である酪農協系乳業Conaproleと乳製品の取引に関する戦略的パートナーシップの締結を発表するなど、両企業は海外に目を向けた戦略を打ち出している。
 
 ラボバンクは、今後、企業買収によりさらなる成長が見込まれ、2019年は上位3社の順位入れ替わりが起こるかもしれないとしている。一方で、中国の経済成長の鈍化と、米国などの景気後退により、その成長が妨げられる可能性があるとしている。同時に、乳業メーカーは、米国・EU・メキシコ・中国における貿易摩擦、英国のEU離脱、環境制約の増加などによるリスクを考慮するであろうとしている。
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【前田絵梨 令和元年8月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527



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