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BREXITによる牛肉価格低迷に対し支援策の措置、農業・食糧・海洋省は「合意なき離脱」に備えるよう関係者に要請(アイルランド)

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BREXITによる牛肉価格低迷を受け、1億ユーロの支援策を措置

 アイルランド農業・食糧・海洋省は7月28日、英国の欧州連合(EU)からの離脱(BREXIT)の影響による牛肉価格低迷を受け、肉用牛農家などに対する支援策の詳細を発表した。アイルランドとEUが共同で資金提供する共通農業政策(CAP)の市場施策(CMO:Common Market Organization)の中から、1億ユーロ(120億円)の予算で実施される。
 
 今回の支援内容は、2018年9月24日から2019年5月12日までの間にと畜された肉用牛(成牛)に対し、100頭を上限として1頭につき100ユーロ(1万2000円)を補助する。また、2018年に出産した繁殖雌牛に対しても、40頭を上限として1頭につき40ユーロ(4800円)を補助する。乳用牛は対象外だが、40頭未満の乳用牛群は対象となる。これは、一般的に同国では小規模酪農経営が複合経営であり、収入のうち牛肉部門が大きな割合を占めるケースが多いためである。
 補助要件としては、排泄物由来の窒素排出量の削減を義務付けるなど持続可能な農業経営の観点から環境への配慮も講じた他、支援が最も影響を受けた生産者に向けられるものとなるよう、食肉パッカーなどの大規模生産者を補助対象外としている。
 同国のマイケル・クリード農業・食糧・海洋大臣は同発表に際し、「過去数カ月間、肉用牛農家経営は非常に困難な状況下にあったと強く認識している」とし、「昨年秋以降、異例の価格低迷が長期間続いており、BREXITを取り巻く不確実性がこの市場混乱の一因となっている」とした。BREXITをめぐる不確実性は、価格低迷の圧力となっており、アイルランドの牛肉生産者の状況をすでに悪化させている。
 
 アイルランドの平均牛枝肉卸売価格は、2018年の秋頃から前年割れが続き、直近の6月の参考価格(A/C/Z-R3)(注)で、前年同月比7.4%安の1キログラム当たり382.3ユーロ(4万5876円)となっている(図)。英国は、アイルランド産牛肉の最大の輸出先であり、2018年の同国総輸出量37万トンのうち56.5%に当たる21万トンが英国向けとなっている。
 
(注)参考価格(A/C/Z-R3)とは、EUにおける牛枝肉卸売価格の指標的な価格であり、A=若雄牛(12〜23カ月齢)、C=去勢牛(12カ月齢以上)、Z=若齢牛(8〜11カ月齢)のうち、R=枝肉の格付けが上(6段階評価の上から4番目)、3=脂肪の付着度合が平均的(5段階評価の上から3番目)なものの加重平均価格である。
図

農業・食糧・海洋省は「合意なき離脱」に備えるよう関係者に要請

 同省は8月1日、英国が合意なしにBREXITする可能性が高まりつつあることを踏まえ、自国の農産物・食品事業者に対し、直ちに「合意なき離脱」に備えるようプレスリリースを行った。
 
 マイケル・クリード農業・食糧・海洋大臣はその中で、「アイルランドは、「合意なき離脱」を望んでおらず、英国がアイルランドと(英国領である)北アイルランドの国境問題も含む協定に合意して離脱することが最善な方法である」とする一方、農産物・食品関連事業者に対しては、「合意なき離脱」のシナリオに備えた準備の必要性について強調した。
 同大臣は7月末、BREXIT後にも必要な管理取締ができるよう大幅に体制および施設を強化した同国の主要な港であるダブリン港を視察し、自国は「合意なき離脱」となった場合でも的確に機能できる体制が整っているとコメントした。また、関係当局から、英国と取引を行う国内事業者に対し、BREXITに備えるための事業者登録をはじめとした税関・動植物検疫関係の必要手続を説明する文書を発送している他、ウェブサイトでの情報開示、相談窓口の設置など、少しでも混乱が防げるよう情報提供を図っている。大臣自身も、疑問などがあればすぐに我々の部署に連絡してほしいと発言するとともに、今後開催予定の農業関連イベントなどを積極的に訪問し、農業関係者に対し直接周知を図っていきたいとしている。
 
 アイルランドにとって英国は最大の貿易相手国であり、農産物・食品の約40%(2018年)が英国向けに輸出されている。アイルランドの農産物・食品事業者にとって、BREXITの動向が直近の最大懸念事項であることは間違いなく、その期限が迫る中、官民一体となった対応が求められている。
 同大臣は、BREXITによる影響を回避することはもはやできないとし、それよりも残された時間で準備に取り掛かることが極めて重要であるとしている。
 
 
(参考)BREXIT関連情報
 
【調査情報部 令和元年8月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527



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