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EU農業生産者団体、新型コロナウイルスによる市場急落に対し緊急支援策を要求

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 欧州連合(EU)最大の農業生産者団体である欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(Copa-Cogeca(注1))は4月7日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響により、価格急落などに直面する生産者やその生産者組合を支援すべく、緊急支援措置を講じるよう欧州委員会に要求した。

 Copa-Cogecaによると、COVID-19の感染拡大を抑えるために各加盟国が外食等産業の多数の営業を突然に差し止めたことにより、業界に農畜産物を供給する生産者等が深刻な影響を受けているとし、欧州委員会に対し、酪農、牛、めん山羊部門に対する影響を示すデータを分析の上、共通農業政策(Common Agricultural Policy:CAP)予算外での支援策を措置するよう要求した。

 このことについて、同団体のPekka Pesonen事務総長は、「4月6日に開催された欧州議会の農業特別委員会(Special Committee on Agriculture:SCA)にて、農業部門への支援策が措置されなかったことに失望している」とし、農業部門はそのような間にもすべてのEU市民に対する食料安全保障を確保しながらも、農業とはかけ離れた要因により引き起こされた未曽有の状況に直面していると現状を説明した。そして、欧州委員会および各加盟国がEU域内市場の機能を確保するために講じている取組みを認める一方、「CAP予算枠外を財源とする、例外的な措置を含めた畜産部門対象の新たな市場措置が必要」であるとした。

<酪農部門>
 Copa-Cogecaは、現在の牛乳・乳製品市場について、生乳生産量がピークをまもなく迎える時期に価格の下落がみられているとし、脱脂粉乳については市場介入レベル(注2)までの急落がみられ、乳価に大きな影響を与えているとした。
 同団体の牛乳・乳製品部門責任者は、「EU乳製品市場がこれ以上悪化することは許されるものではない」と現状に懸念を示し、欧州委員会に対し、今すぐ責任ある行動として「すべての乳製品に対してPSA(注3)を措置するよう求める」とした。 COVID-19対策としての学校閉鎖による牛乳・乳製品供給量減少の影響の精査や、このような「不可抗力事態」下での競争法に基づく不必要な規制の緩和の必要性も併せて指摘した。

<牛肉>
 牛肉および子牛肉部門もCOVID-19により深刻な打撃を受けたとした。外食等産業およびケータリングへの販売機会が消失し、子牛肉を含む高級部位は深刻な需要減少となっている。
 牛肉・子牛肉部門責任者は、「現在の牛肉および子牛肉部門は、前例のない困難な状況に直面している」とし、特に枝肉の総価値の3割程度を創出する高級部位、中でも特定の牛群由来の牛肉の需要減少による影響が極めて大きいとした。また、このような困難な状況下にもかかわらず、低級部位はメルコスール(南米南部共同市場)(注4)から継続して輸入されている状況であることに言及した上で、欧州委員会に対し、「非常時には非常手段が必要である」とし、高級部位に関する関税割当制度の見直しを要請するとした。さらに、特定の高級部位や子牛肉のためのPSAや、CAPに基づく「単一共通市場」政策(Common Market Organization:CMO)の枠内で実行可能な例外的な措置を緊急に、具体的には4月27および28日に開催予定の次回のEU農業閣僚理事会までに決定する必要がある」とした。

 Copa-Cogecaは、特に季節的に最盛期を迎える羊および山羊部門についても同様の懸念を示し、関税割当制度やPSAなどの検討を求めた。また、欧州委員会が、高品質なEU畜産部門を守るために、必要かつ不可欠な措置を真剣に検討するよう望むとした。

(注1)Copa-Cogecaとは、EU加盟国の農業生産者によって構成されるCopa(欧州農業組織委員会)および農業共同組合により構成されるCogeca(欧州農業協同組合委員会)により組織された農業生産者団体。CopaおよびCogecaは、独立した組織であるものの、両者は共同で事務局を設置し、主にロビー活動を行っている。

(注2)欧州委員会は、乳価の下支えとして、公的買い入れおよび民間在庫補助(Private Storage Aid:PSA)という市場介入措置を実施している。公的買い入れは、加盟各国のバターや脱脂粉乳の卸売価格が、あらかじめ設定された公的買入価格を下回った場合、当該国の機関が、製造業者または取扱業者の申請に基づき同価格で買い入れるもので、EU全体で買い入れできる上限数量が定められている。PSAについては注3のとおり。

(注3)PSAとは、バター、脱脂粉乳およびチーズを対象に、大幅な価格の下落など欧州委員会が必要と認めた場合、一定量を一定期間、市場から隔離するため、在庫として保管する業者に対し、保管経費の補助が行われるもの。直近では、2014年8月のロシアによるEU産農畜産物の禁輸措置の影響を最小限に食い止めるため、緊急措置としてバターに対して2016年9月まで、脱脂粉乳に対して2017年2月まで実施された。

(注4)アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4カ国で発足した関税同盟。2019年7月2日現在、ボリビアが加盟について各国議会の批准待ち。ベネズエラが加盟資格停止中。
【調査情報部 令和2年4月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527



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