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欧州生鮮青果物協会 、新型コロナウイルス感染症の影響に関する評価を公表

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最終更新日:2020年5月21日

 欧州における生鮮野菜・果物のサプライチェーン全体を代表する団体である欧州生鮮青果物協会(FRESHFEL EUROPE)は5月6日、ヨーロッパの生鮮野菜・果物部門に対して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が及ぼした影響に関する評価を公表した。同評価には、主にEUおよび各国の公的機関や国際機関を対象とした政策立案者への提言も含まれている。

 FRESHFEL EUROPEは、ここ数カ月間のCOVID-19が生鮮野菜・果物部門に及ぼした影響を把握するとともに、今後消費者への生鮮食品の供給に短期、中期、長期的にどのような影響がありうるかを明らかにしたとしている。

 同協会総代表のフィリップ・ビナード氏は、「我々の部門は、大流行期間中、新鮮、安全で体に良い食品を消費者に途切れなく供給することが出来た。一方、この2カ月間に重要な課題に直面し続けており、そうした課題について、本評価で総括している。この評価の中には、大流行によるサプライチェーンへの経済的影響と追加コストの分析だけでなく、労働力の確保と労働者の感染防止、新たな物流の制約などの課題、市場の実績が含まれている」と説明した。

今回の評価の中では、主に以下の項目を重要な課題としている。

〇労働力の課題
・移動禁止により、生産に必要な季節労働者が大幅に不足しており、中期的には供給力が損なわれる可能性がある。
・社会的距離の確保の措置により、サプライチェーン全体の働きが鈍化し、消費者への生鮮食品の供給力が低下した。
・防護用具と検査の不足は、労働者とその家族の健康を危険にさらす可能性がある。

〇物流の停滞
・社会的距離の確保や国境閉鎖による物流の遅延が、EU域内の貿易と域外との輸出入の両方を歪めるため、生鮮食品の品質や供給力に強い影響を与えている。
・輸送経路の混乱により、需要のある海上コンテナが利用できなかったり、トラックが空のまま戻ってきたりするだけでなく、航空便の大幅な減少により、貿易に重要な書類のやりとりに齟齬をきたしている。
・事業者は、輸送、販売、その他の物流業務を継続するために、防護用具や追加人員確保のための投資を余儀なくされている。

〇不確実な市場の動き
・高い柔軟性により、消費者の主な生鮮食品部門に対する高い需要を満たしている。
・外食産業の閉鎖により、利益が大きい部門(サラダ、カット野菜、その他の簡便な青果物など)の需要がなくなっている。
・サプライチェーンの混乱により、価格が乱高下する可能性が高い。
・中期的には、収穫、梱包、輸送に従事する労働者が不足し、販売先までの物流の確保などが難しくなる影響で、食品の損失につながる可能性がある。また、輸入生鮮食品は、物流などの鈍化によって特に影響を受ける可能性が高く、特定の品目の供給に影響を与える可能性がある。こうした供給量の減少は、生鮮食品の価格変動につながる可能性がある。
・EU市場への供給に集中し、輸出における新たな困難やリスクを回避しようとしているため、輸出は減少すると予想される。これは、中期的には一部の競争市場で市場シェアを維持するのに悪い影響を与える可能性がある。

〇追加コスト
・COVID-19への対策の結果、物流の混乱と人件費の増加により、EUの生産者のコストが2カ月で10億ユーロ(1180億円、1ユーロ:118円)増加した。
・EU全域でバーやレストラン、ケータリングサービスの閉鎖が相次ぎ、卸売業やフードサービス部門が最も影響を受けている。さらに、制限解除の日程などに不確実性が高く、加盟国間の調整も不足していることから、企業が損失を評価し、適応するための将来の計画を立てることに対して依然として困難をきたしている。

〇その他:
・消費者の関心が、COVID-19以前の持続可能性への懸念の高まり(例:包装の削減、有機農産物)から、食品の安全性を重視する傾向へ変化したため、一部の加盟国では消費者が包装された生鮮食品を好むようになっている。一方で、COVID-19の影響により、一部の加盟国において、青果物の供給のため経済活動を継続することが非難され、関係者により多くの情報提供を求められることとなったことや、過度に国産青果物の消費が強調されることによって、市場が統一されていることの価値を減じ、合法的に流通している他国の青果物が不当に差別される恐れが生じている。

 FRESHFEL EUROPEは、生鮮野菜・果物部門に関してだけでなく、サプライチェーンの各段階に関して、一体として政策立案者に以下の具体的な提言を行っている。今後数カ月間に競争力を維持し、2020年以降も新鮮な野菜や果物の消費者への供給を確保するためには、この部門に対するさらなる支援が必要であるとしている。

今回の評価の中では、主に以下の項目で提言を行っている。

〇ヨーロッパにおける解決策の模索
・流行が始まった当初の無秩序な国境管理により、一部の国による一方的な対策が生鮮食品のサプライチェーンに被害をもたらすことが明らかになった。今後の行動はEU全体で統一的な方針に基づく対策をとる必要がある。さらに、EU加盟国の制限解除は、EU全体で調整すべきである。
・COVID-19の第2波が秋以降に発生した場合、感染防止政策を協調して実施できるようにしなければならない。

〇生鮮野菜・果物労働者の不可欠な役割に対する理解醸成
・全ての生鮮野菜・果物に関わる労働者は「必要不可欠」とみなされ、防護用具を優先的に利用できるようにするべきである。
・生産と供給の継続を確保するためにも、季節労働者にも検疫や渡航禁止が免除されるように特別な条件が適用されるべきである。

〇経済的持続可能性のためのEU域内外の同部門への資金援助
・共通農業政策(CAP)やその他の手段により、この部門、特に生産者、卸売業者、外食産業の供給者の経済的持続可能性を確保すべきである。
・EU の長期的な食料安全保障を確保するためには、生鮮食品の主要な供給者である発展途上国に対する EU の支援も優先されるべきである。

〇EU政策施行の再調整
・目の前の課題に鑑み、新しい EU要件(例えば有機農産物に関する規制など)の適用を短期的に延期することが必要である。
・将来業界に対し何らかの行動を求めたり、支援を実施したりする場合には、EUとしてCOVID-19後の状況を考慮した優先順位を定めるべきである。

〇生鮮野菜・果物の貿易確保のための国際協力
・輸送労働者の保護と港湾管理(例:消毒基準)のためには、行動手順の標準化が必要である。
・EUは、全ての貿易相手国による相互的な貿易円滑化措置を実施するための世界的な取り組みを主導すべきである。
・この取り組みには、特に、国際的な「グリーンレーン(優先レーン)」の確立、全ての輸出証明書の電子送信の世界的な受け入れ、EUの輸出業者による衛生植物検疫(Sanitary and Phytosanitary (SPS))措置の遵守促進などが含まれる。

欧州生鮮青果物協会プレスリリース(5月20日閲覧)
 
【小林 智也 令和2年5月21日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:小林 智也)
Tel:03-3583-8527



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