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でん粉原料用甘しょ生産振興大会の開催

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最終更新日:2019年5月7日

鹿児島事務所 合屋 祐里

 平成31年1月23日(水)と2月6日(水)、でん粉原料用かんしょの2大産地である鹿児島県南九州市および鹿屋市において、「2019年でん粉原料用甘しょ生産振興大会」が開催された。本大会は、それぞれJA南薩甘しょでん粉協同事業体(JAいぶすき、JA南さつま、JAさつま日置)、JA鹿児島きもつきの主催で開かれ、南薩地区および大隅地区のでん粉原料用かんしょ生産者のほか、JA関係者、行政担当者など、両日合わせて約600名が出席した。
 平成26年以来、5年ぶりの開催となったきっかけは、平成30年産において、鹿児島県全体でかんしょの立枯症状と塊根腐敗が発生し、原料用かんしょの作付面積のうち約2割(30年11月現在)の圃場(ほじょう)で被害が生じたことにある。鹿児島県はこの病害の発生に対して、30年12月に病害虫発生予察特殊報を発令し、病害名「サツマイモ基腐(もとぐされ)病(仮称)」、「サツマイモ乾腐(かんぷ)病」およびその病原菌を発表した。また、中には、かんしょの病害として近年頻発している「つる割病」が混在して発生した圃場も確認されている。
 さらに、高齢化に伴う離農等による生産者数および収穫面積の減少や異常気象による生育不良を背景として、でん粉原料用かんしょの生産基盤は弱体化しており、かんしょの安定生産と生産者の所得向上に関係者一体となって取り組むことを目的として、本大会は開催された。
 冒頭、JA南薩甘しょでん粉協同事業体を代表して 山下良行 代表(JA南さつま 代表理事専務)(23日)とJA鹿児島きもつき 下小野田寛 代表理事組合長(6日)から、開会のあいさつが行われた(写真1)。それぞれが擁するJA南薩拠点霜出澱粉工場およびJA鹿児島きもつき新西南でん粉工場は、工場の集約とかんしょでん粉の糖化用途から食品用途への転換を目的として設置され、操業から8年以上が経過した。両代表からは、これまで生産者を始めとした多くの方々に支えられてきたことへの謝辞と、地域に密着するJAとしての生産振興に対する思いが語られた。
写真 1 開会のあいさつ(6日、鹿屋市)
写真 1 開会のあいさつ(6日、鹿屋市)
 続いて、共催者である鹿児島県経済農業協同組合連合会(以下「鹿児島県経済連」という。) 門脇祐司 代表理事理事長(6日は同会 鬼丸幸司 代表理事専務による代読)は、生産者の経営環境の悪化を受け、国のかんしょ増産推進緊急支援事業によるマルチの購入助成に加えて、JAグループ独自の生産力向上対策を講じることを説明した。また、かんしょでん粉の販売面では、食品製造業などへの販売だけでなく、片栗粉の代用としての家庭用の販売にも引き続き力を入れていく、と述べた。
 次に、来賓者によるあいさつでは、南九州市 福留保 副市長(23日)と鹿屋市 中西茂 市長(6日)が、かんしょでん粉の一大産地における病害の発生に対して危機感を示し、速やかに被害調査や生産者への情報提供を行うとともに、事態の早期解決に向けて、国および県に要請を行っていく、と述べた(写真2)。また、福留副市長は、「今回の大会を契機に、南日本における食料供給基地としての一翼を担っているという意識を改めて共有したい」、中西市長は、「これまで築き上げてきたかんしょの文化を皆様とともに後世につないでいきたい」と語った。
写真 2 来賓のあいさつ(23日、南九州市)
写真 2 来賓のあいさつ(23日、南九州市)
 さらに、来賓者の南薩地域振興局農林水産部農政普及課 中原俊一 課長(23日)と大隅地域振興局農林水産部 寺園昌昭 部長(6日)からは、病害への対策として、圃場の適切な排水や防除方法の周知に努めること、多収性品種や省力化技術の普及に向けて、関係機関一体となって取り組むことが述べられた。
 続いて、「かんしょでん粉の流通と販売情勢について」と題して、全国農業協同組合連合会(以下「全農」という。)麦類農産部でん粉・食品原料課 石村裕章 課長(23日)と同部 武藤宗臣 次長(6日)の講話が行われた。両氏は、「全農は、鹿児島県経済連を経由して各JAから仕入れたかんしょでん粉を、全国4つの拠点で販売しており、食品用途の販売は、平成24年の5000トン弱から30年の1万3000トン弱と大幅に増加した。引き続き、ユーザーからの根強い支持に応えられるよう、生産者の皆様のご苦労は承知の上だが、安定的な生産へのご協力をお願いしたい」と語った。
 次に、鹿児島県農業開発総合センター企画調整部普及情報課 末川修 専門普及指導員からは、基本技術と病害対策についての説明があった。先述のとおり、昨今の立枯症状と塊根腐敗については、「サツマイモ基腐病(仮称)」、「サツマイモ乾腐病」および「つる割病」が混在して発生したものと考えられるが、詳しい発生原因や対策が判明していない状況にあり、現時点での対応として、植物残渣の除去、異常畑の休耕、排水対策、苗消毒等の基本的な病害対策の励行に徹するよう喚起がなされた。
 さらに、鹿児島県農業開発総合センター大隅支場園芸作物研究室 中之内光太郎氏からは、新品種「九州181号」の特性について講話が行われた(写真3)。同品種は、従来品種よりも2割ほど収量が多く、「つる割病」などの病害に強いことが大きな特徴となっている。平成31年3月20日に鹿児島県における奨励品種に採用され、31年度中には品種登録がなされる予定だ。大会の後には、興味を持った多数の生産者が同氏のもとに詰めかけ、収量や生育について尋ねていた。 
写真 3 新品種についての講話
写真 3 新品種についての講話
 講演終了後、JA南さつま 村田孝浩 参事(23日)とJA鹿児島きもつき 川畑敏朗 部長(6日)から、JAグループによる生産力向上対策として、病害対策、農家所得向上対策、省力化対策の3本柱が具体的に紹介され、より一層生産振興に力を入れていく旨が述べられた。
 最後に、JAさつま日置管内の生産者 竹田修一氏(23日)とJA鹿児島きもつき管内の生産者 平井剛氏(6日)が大会決議案を提案し、出席者一同からの拍手による採択をもって、閉会した(写真4)。
写真 4 生産者代表による大会決議案朗読(23日、南九州市)
写真 4 生産者代表による大会決議案朗読(23日、南九州市)
【大会決議】
 でん粉原料用甘しょは、本県における特殊土壌や台風に強い防災営農作物として無くてはならない作物である。しかしながら最近では、高齢化の進展や異常気象、さらには病害などにより生産基盤が脆弱化している。
 このような中、でん粉原料用甘しょの役割を改めて見直し、鹿児島県の農業の根幹を成す甘しょ生産を守るため、でん粉工場と一体となり下記事項に取り組む。
 
一.基本技術を徹底し、天候や病害に負けない甘しょ生産基盤の構築をすすめます。
一.多収性新品種「九州181号」への全面切替に向け取り組み、甘しょの安定生産に努めます。
一.省力化技術などスマート農業を積極的に取り入れ、コスト削減による所得の向上を目指します。
 
 
 
 生産振興大会の前後では、でん粉の価格調整制度の周知・浸透およびかんしょでん粉の様々な用途を紹介し、生産者の生産意欲向上に資することを目的として、当機構鹿児島事務所では、パネルの展示、パンフレットの配布等を行った(写真5)。立ち寄った生産者の多くがかんしょでん粉を使った加工食品になじみのない様子で、展示された菓子、麺、春雨等を手に取り、裏面の食品表示を確かめていた。また、かんしょでん粉が使われた市販のスナック菓子や「こなみずき」というかんしょでん粉で固めた手作りゼリーの試食を行い、特徴的な食感が好評を博していた。
写真 5 出展の様子
写真 5 出展の様子
 当機構としても、でん粉原料用かんしょ生産の維持・発展を祈念するとともに、生産者の皆様が安心して生産を続けられるよう、今後も交付金交付業務の適正な運営に努めてまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:鹿児島事務所)
Tel:099-226-4741

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